
はじめに
「最近、なんだか動きが鈍くなった」「手先の細かい動作がやりにくい」「便秘が続いている」。こうした症状を年齢や疲れのせいだと軽視していませんか?
パーキンソン病は、進行性の神経変性疾患であり、初期の段階では日常生活に紛れるような小さな変化として現れます。しかし、これらの兆候を見逃さずに早期発見することで、進行を遅らせることが可能です。
本記事では、パーキンソン病の基本情報と見落とされがちな初期症状を詳細に解説し、リスクを抱える人が注意すべきポイントを整理します。また、診断の流れや治療の選択肢についても触れ、どのように対処すべきか具体的に説明します。
パーキンソン病とは?
パーキンソン病の概要

パーキンソン病は、脳の黒質に存在するドーパミン神経細胞の変性・消失によって発症する疾患です。ドーパミンは運動の制御に重要な役割を果たしており、不足すると身体の動きがスムーズに行えなくなるため、震えや筋肉のこわばり、動作の遅れなどの症状が現れます。

世界的に見ても65歳以上の1〜2%が発症するとされ、日本国内でも患者数は増加傾向にあります。特に高齢化が進む中で、発症リスクの高い年代が増えており、より一層の理解と対策が求められています。
発症のメカニズム
パーキンソン病の発症には、以下のような複数の要因が関与すると考えられています。
- ドーパミン神経の減少
黒質にある神経細胞が徐々に減少し、ドーパミンの分泌量が低下することで、運動の調整がうまくできなくなる。 - αシヌクレインの蓄積
パーキンソン病患者の脳内には、異常なたんぱく質「αシヌクレイン」が蓄積することが知られており、これが神経細胞の死を引き起こす可能性がある。 - 遺伝的・環境的要因
一部の遺伝子変異が関連することがわかっているが、大部分のケースでは環境因子(農薬、重金属、生活習慣など)が関与していると考えられる。
進行の特徴
初期症状は片側の手足に現れることが多く、進行とともに全身へ広がるのが特徴です。一般的に以下のような進行段階が見られます。
- 軽度の震えや動作の遅れ(初期段階)
- 片側の手や指の細かい動きが鈍くなる
- 静止時に手の震えが見られる
- 歩行や姿勢の変化(中期)
- 歩幅が狭くなり、前のめりの姿勢になる
- 転びやすくなる
- 日常生活への影響(進行期)
- 会話のスピードが遅くなる
- 表情が乏しくなる(仮面様顔貌)
見逃されがちな初期症状
運動機能の変化
パーキンソン病の最も特徴的な症状は運動機能の変化ですが、その初期段階では「加齢による衰え」や「単なる疲れ」と誤解されることが少なくありません。
手足の震え(振戦)
静止時に手が震えることが特徴的ですが、初期では疲れたときや緊張したときだけに現れることもあります。そのため、単なるストレス反応と勘違いされることが多い症状です。
筋肉のこわばり(筋強剛)
朝起きたときや長時間同じ姿勢でいた後に「体が固まる」ような感覚を覚えることがあります。関節や筋肉の問題と誤解されやすいですが、パーキンソン病による筋強剛の可能性もあります。
動作の遅れ(寡動)
歩く速度が遅くなったり、靴を履く、ボタンを留めるといった細かい動作がしづらくなったりすることがあります。家族から「最近、動作がゆっくりになった」と指摘されることもあります。
非運動症状のサイン
運動機能の変化よりも先に現れることが多いのが「非運動症状」です。これらの症状が続く場合は、注意が必要です。
嗅覚の低下
パーキンソン病の患者の多くが、発症前から嗅覚が低下することが知られています。コーヒーの香りや食事の匂いを感じにくくなることが、最初のサインとなることがあります。
便秘や消化器の変化
自律神経の異常により、消化管の動きが鈍くなることがあります。長年にわたる便秘が続いている場合、パーキンソン病の可能性も視野に入れるべきでしょう。
睡眠障害
レム睡眠行動異常と呼ばれる、夢の中で体が激しく動く症状や、寝つきが悪い、頻繁に目が覚めるといった不眠症状も、パーキンソン病の初期段階で見られることがあります。
早期発見の重要性
受診のタイミング
初期症状は一見すると些細なものですが、気になる症状が続く場合は神経内科を受診することが重要です。早期診断が進行を遅らせるカギとなります。
診断方法と検査
神経学的診察に加え、DATスキャン(ドーパミントランスポーターシンチグラフィ)などの画像診断を用いて確定診断が行われます。また、MRIや血液検査を通じて他の疾患との鑑別も必要になります。
早期治療のメリット
適切な薬物治療やリハビリテーションを早期に開始することで、症状の進行を遅らせ、生活の質を維持することができます。特に運動療法は、運動機能の低下を防ぐ上で重要な役割を果たします。
まとめ
パーキンソン病は、気づきにくい初期症状が多いため、見逃されやすい疾患です。「最近、動きが鈍くなった」「便秘や嗅覚の低下が続いている」といったサインがあれば、単なる加齢や疲れと片付けずに、専門医の診察を受けることが大切です。
早期発見と適切な治療により、症状の進行を遅らせ、より良い生活を送ることが可能になります。
気になる症状がある方は、ぜひ一度、医療機関での相談を検討してみてください。
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