若い人でも脳卒中になるのか?

脳卒中と聞くと、高齢者に多い病気というイメージを持つ人は少なくありません。たしかに、脳卒中は加齢とともに発症リスクが高まる病気ですが、若い人にまったく起こらないわけではありません。20代、30代、40代であっても、生活習慣、血管の異常、心臓の病気、外傷、妊娠・出産、薬剤の影響など、さまざまな要因によって脳卒中を発症する可能性があります。

特に若い世代では、「まさか自分が脳卒中になるはずがない」と考えてしまい、初期症状を疲労や体調不良として見過ごしてしまうことがあります。しかし、脳卒中は発症後の対応が遅れるほど、後遺症のリスクが高くなる病気です。若いから大丈夫と決めつけず、脳卒中の基本的な知識と危険なサインを知っておくことが重要です。

目次

脳卒中は高齢者だけの病気ではない

脳卒中は、脳の血管に異常が起こることで発症する病気です。年齢が上がるほど発症しやすい傾向はありますが、若年層でも発症することがあります。若い人の脳卒中は決して多いわけではありませんが、発症した場合には仕事、家庭、社会生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。

若年性脳卒中では、高齢者とは異なる原因が関係していることもあります。たとえば、生まれつきの血管の異常、心臓由来の血栓、血液が固まりやすくなる病気、首の血管損傷、妊娠・出産に伴う身体変化などが関係する場合があります。そのため、若い人の脳卒中では、単に生活習慣だけでなく、背景にある病気や体質を含めて原因を調べることが大切です。

若年層にも起こり得る脳卒中の実態

若い人の脳卒中は、高齢者に比べると頻度は低いものの、実際に発症するケースがあります。特に、働き盛りの年代で発症すると、身体機能の低下だけでなく、仕事への復帰、収入、家庭内での役割、子育てなどに大きな影響が出ることがあります。

若年層の場合、発症前に大きな病気を自覚していないこともあります。そのため、突然の片麻痺、言葉の出にくさ、激しい頭痛、視野の異常などが起きても、「寝不足だろう」「疲れているだけだろう」と判断してしまうことがあります。しかし、脳卒中は早期対応が非常に重要な病気であり、症状が軽く見えても油断はできません。

若い人の脳卒中が見逃されやすい理由

若い人の脳卒中が見逃されやすい理由の一つは、本人も周囲も脳卒中を疑いにくいことです。高齢者であれば、急な麻痺やろれつの異常が出たときに脳卒中を連想しやすいですが、若い人では「貧血」「疲労」「ストレス」「肩こり」「片頭痛」などと考えられてしまうことがあります。

また、症状が一時的に改善する場合も注意が必要です。一時的に手足のしびれや言葉の出にくさが起こり、短時間で回復することがありますが、これは一過性脳虚血発作と呼ばれる状態の可能性があります。症状が消えたからといって安全とは限らず、その後に本格的な脳梗塞を起こすリスクがあるため、早めの医療機関受診が必要です。

発症年齢が若いほど生活への影響が大きい

若い人が脳卒中を発症した場合、後遺症の影響は長期にわたる可能性があります。たとえば、手足の麻痺、言語障害、記憶力や注意力の低下、疲れやすさ、感情のコントロールの難しさなどが残ると、仕事や学業、家庭生活に支障をきたすことがあります。

若い世代では、社会的な役割が多い時期に発症するため、身体機能の回復だけでなく、復職、育児、家事、経済面、心理面への支援も重要になります。脳卒中は命に関わる病気であると同時に、その後の人生設計にも関わる病気です。だからこそ、若い人でも予防と早期対応を意識する必要があります。

脳卒中とは何か

脳卒中とは、脳の血管が詰まる、または破れることで、脳の神経細胞に障害が起こる病気の総称です。大きく分けると、脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れて脳内に出血する「脳出血」、脳の表面付近で出血が起こる「くも膜下出血」があります。

脳は、血液によって酸素や栄養を受け取っています。そのため、血流が途絶えたり、出血によって脳が圧迫されたりすると、脳の機能が急速に障害されます。脳卒中では、障害された脳の部位によって、麻痺、しびれ、言語障害、意識障害、視覚障害、めまい、激しい頭痛など、さまざまな症状が現れます。

脳の血管トラブルによって起こる病気

脳卒中の本質は、脳の血管に起こる急なトラブルです。脳の血管が詰まると、その先にある脳細胞へ血液が届かなくなります。脳細胞は酸素不足に弱いため、血流が止まる時間が長くなるほど損傷が広がります。

一方、血管が破れて出血すると、血液が脳の組織を圧迫し、周囲の神経細胞に障害を与えます。脳は頭蓋骨に囲まれた限られた空間の中にあるため、出血によって圧力が高まると、命に関わる状態になることもあります。つまり、脳卒中は「時間との勝負」となる病気です。

脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の違い

脳梗塞は、血管が詰まることで起こる脳卒中です。血栓によって血流が妨げられ、脳細胞が酸素不足になります。症状としては、片側の手足の麻痺、顔のゆがみ、ろれつが回らない、言葉が出にくい、片目が見えにくいなどが代表的です。

脳出血は、脳の中の血管が破れて出血する病気です。高血圧が大きな原因となることが多く、急な麻痺、意識障害、頭痛、吐き気などが起こることがあります。出血した場所や量によって、症状の重さは大きく変わります。

くも膜下出血は、脳の表面を覆う膜の内側で出血が起こる病気です。突然の激しい頭痛が特徴的で、「今まで経験したことのない強い頭痛」と表現されることもあります。意識障害や嘔吐を伴うこともあり、緊急性の高い病気です。

症状が突然現れることが多い理由

脳卒中の症状は、突然現れることが多いです。これは、脳の血管が急に詰まったり、破れたりすることで、脳の働きが急激に障害されるためです。徐々に悪化する症状もありますが、「さっきまで普通だったのに急に話せなくなった」「突然片側の手足に力が入らなくなった」という形で発症することが少なくありません。

特に、片側だけに症状が出る場合は注意が必要です。顔の片側が下がる、片腕だけ力が入らない、片足だけ動かしにくい、片側の感覚が鈍いといった症状は、脳卒中を疑う重要なサインです。突然起こった神経症状は、年齢に関係なく軽視してはいけません。

若い人に起こる脳卒中の主な原因

若い人の脳卒中には、高齢者と共通する原因もあれば、若年層に特徴的な原因もあります。高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満、運動不足などの生活習慣に関連するリスクは、若い人でも無関係ではありません。

一方で、若年性脳卒中では、心臓の病気、血管の先天的異常、血液が固まりやすくなる病気、首の血管の損傷、妊娠・出産に関連する変化、薬剤の影響などが関係することもあります。若い人の脳卒中では、原因を丁寧に調べることが再発予防につながります。

生活習慣病による血管への負担

若い人であっても、高血圧、糖尿病、脂質異常症があると、血管には少しずつ負担がかかります。血圧が高い状態が続くと、血管の壁に強い圧力がかかり、血管が傷みやすくなります。糖尿病では血管の内側が障害されやすく、動脈硬化の進行にも関係します。

脂質異常症では、血液中の脂質バランスが乱れ、血管の内側にプラークと呼ばれる脂質のかたまりが形成されやすくなります。こうした変化が進むと、血管が狭くなったり、血栓ができやすくなったりします。若いからといって生活習慣病を放置すると、将来的な脳卒中リスクにつながる可能性があります。

先天的な血管異常や心臓疾患

若い人の脳卒中では、生まれつきの血管の異常や心臓疾患が関係している場合があります。たとえば、脳動脈瘤、脳動静脈奇形、血管の形成異常などがあると、出血性の脳卒中につながる可能性があります。

また、心臓の中で血栓ができ、それが血流に乗って脳の血管に詰まることもあります。これを心原性脳塞栓症といいます。不整脈や心臓の構造的な問題が背景にある場合もあり、若い人の脳梗塞では心臓の検査が重要になることがあります。

外傷や首の血管損傷が関係するケース

若年層では、スポーツや事故による外傷が脳卒中のきっかけになることがあります。特に、首の血管が傷つく「動脈解離」は、若い人の脳梗塞の原因となることがあります。首を強くひねる、強い衝撃を受ける、急激な動作を行うなどが関係する場合があります。

動脈解離では、首の痛みや頭痛が先に起こり、その後に脳梗塞の症状が出ることがあります。すべての首の痛みが危険というわけではありませんが、強い頭痛や神経症状を伴う場合は注意が必要です。スポーツ後や外傷後に、片側の麻痺、しびれ、言葉の異常、視覚異常が出た場合は、早急な受診が必要です。

妊娠・出産・ホルモン変化との関連

女性の場合、妊娠・出産に伴う身体変化が脳卒中リスクに関係することがあります。妊娠中や産後は、血液が固まりやすくなる変化が起こるほか、血圧の上昇や血管への負担が問題になる場合があります。

また、経口避妊薬などのホルモンに関連する薬剤は、喫煙や片頭痛など他のリスクと重なることで、血栓症のリスクに関係することがあります。薬剤を使用している人や妊娠・産後の体調変化がある人は、頭痛、視覚異常、麻痺、言葉の異常などを軽視しないことが大切です。

薬剤・喫煙・過度な飲酒などの影響

喫煙は血管を傷つけ、血栓をできやすくする要因の一つです。若い人でも喫煙習慣がある場合、脳卒中を含む循環器疾患のリスクを高める可能性があります。また、過度な飲酒は血圧の上昇や不整脈、生活習慣の乱れにつながることがあります。

薬剤についても、使用状況によっては血栓や血圧変動に関係する場合があります。自己判断で薬を中断したり、反対に必要以上に使用したりすることは避けるべきです。持病がある人、薬を服用している人、喫煙や飲酒習慣がある人は、自分のリスクを把握しておくことが重要です。

若年性脳卒中で注意したい危険因子

若年性脳卒中を予防するためには、危険因子を知ることが重要です。危険因子とは、病気を発症しやすくする要素のことです。脳卒中では、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満、運動不足、睡眠不足、ストレス、家族歴などが関係します。

若い人では、健康診断で異常を指摘されても「まだ若いから大丈夫」と考え、治療や生活改善を後回しにしてしまうことがあります。しかし、血管への負担は自覚症状がないまま進行することがあります。若いうちから危険因子を管理することは、将来の脳卒中予防において非常に重要です。

高血圧・糖尿病・脂質異常症

高血圧は、脳卒中の代表的な危険因子です。血圧が高い状態が続くと、血管の壁に負担がかかり、脳出血や脳梗塞のリスクにつながります。若い人では高血圧を自覚しにくく、健康診断で初めて指摘されることもあります。

糖尿病や脂質異常症も血管障害に関係します。血糖値が高い状態や脂質の異常が続くと、血管の内側が傷み、動脈硬化が進行しやすくなります。これらは自覚症状が乏しいため、健康診断の数値を確認し、必要に応じて医師に相談することが大切です。

喫煙や睡眠不足による血管リスク

喫煙は、血管の収縮、血液の固まりやすさ、動脈硬化の進行などに関係します。若い人であっても、長期間の喫煙習慣は血管への負担を積み重ねます。また、受動喫煙も健康リスクとなるため、本人だけでなく周囲への影響も考える必要があります。

睡眠不足も軽視できません。慢性的な睡眠不足は、血圧の上昇、ストレスホルモンの増加、食生活の乱れ、肥満などにつながることがあります。忙しい若い世代ほど睡眠を削りがちですが、睡眠は血管の健康を守るためにも重要な生活習慣です。

肥満や運動不足がもたらす影響

肥満や運動不足は、高血圧、糖尿病、脂質異常症を引き起こしやすくする要因です。特に内臓脂肪が増えると、血糖や脂質、血圧のコントロールが乱れやすくなります。これらが重なると、血管への負担はさらに大きくなります。

運動習慣は、血圧や血糖、脂質の改善に役立つだけでなく、体重管理やストレス軽減にもつながります。激しい運動を急に始める必要はありません。まずは歩く時間を増やす、階段を使う、座りっぱなしの時間を減らすなど、日常生活の中で身体を動かす機会を増やすことが大切です。

ストレスや過労が身体に与える負担

ストレスや過労は、血圧の上昇、睡眠の質の低下、食生活の乱れ、飲酒量の増加などにつながることがあります。若い世代では、仕事、学業、家庭、人間関係などの負担が重なり、自分の体調変化を後回しにしてしまうことがあります。

もちろん、ストレスだけで脳卒中が起こると単純に考えるべきではありません。しかし、ストレスが生活習慣を乱し、血管リスクを高める方向に働くことはあります。疲労が続く、眠れない、頭痛が増えた、血圧が高いなどの変化がある場合は、身体からのサインとして受け止めることが大切です。

家族歴がある場合に意識したいこと

家族に脳卒中を経験した人がいる場合、自分自身もリスクに目を向ける必要があります。家族歴は、体質的な要因だけでなく、食習慣、運動習慣、喫煙、飲酒、睡眠など、生活環境が似ていることにも関係します。

家族歴があるから必ず脳卒中になるわけではありません。しかし、血圧、血糖、脂質、体重、喫煙習慣などを早めに見直すきっかけにはなります。特に若い人は、予防に取り組む期間が長く残されているため、早期からの生活改善が将来のリスク低下につながります。

若い人に現れる脳卒中のサイン

脳卒中のサインは、年齢に関係なく突然現れることが多いです。代表的な症状として、片側の顔のゆがみ、片側の手足の脱力、ろれつが回らない、言葉が出にくい、視野が欠ける、突然の激しい頭痛、めまい、意識障害などがあります。

若い人では、これらの症状を疲労やストレス、片頭痛、寝不足と考えてしまうことがあります。しかし、突然起こった神経症状は、脳からの重大なサインである可能性があります。症状が軽くても、短時間で治まっても、自己判断で放置しないことが重要です。

片側の手足や顔に力が入らない

脳卒中では、身体の片側に症状が出ることがあります。片腕が上がらない、片足に力が入らない、顔の片側が下がる、口角が片側だけ下がるといった症状は、特に注意が必要です。

本人は気づきにくい場合もあるため、周囲の人が「顔が歪んでいる」「片方の腕だけ下がっている」と気づくこともあります。両側ではなく片側に急に症状が出た場合は、脳卒中を疑う重要な手がかりになります。

ろれつが回らない・言葉が出にくい

脳卒中では、言葉に関する症状が現れることがあります。ろれつが回らない、言葉が出てこない、相手の言っていることが理解できない、話そうとしても意味の通らない言葉になるなどです。

これらの症状は、単なる疲れや緊張と間違われることがあります。しかし、突然言葉がうまく出なくなった場合は、脳の言語機能に関わる部位が障害されている可能性があります。会話の違和感は、脳卒中の重要なサインです。

片目が見えにくい・視野が欠ける

脳卒中では、視覚に異常が出ることもあります。片目が急に見えにくくなる、視野の一部が欠ける、物が二重に見える、片側の空間に気づきにくくなるなどの症状があります。

目の問題だと思って眼科的な症状と考える人もいますが、視覚情報を処理しているのは脳でもあります。突然の視覚異常に、麻痺、しびれ、言語障害、めまいなどが伴う場合は、脳卒中の可能性を考える必要があります。

激しい頭痛やめまいが突然起こる

突然の激しい頭痛は、くも膜下出血などの重要なサインである可能性があります。特に、これまで経験したことのないような強い頭痛、急に始まった頭痛、吐き気や意識の変化を伴う頭痛は注意が必要です。

めまいについても、すべてが脳卒中というわけではありませんが、歩けないほどのふらつき、ろれつの異常、手足のしびれ、物が二重に見えるなどを伴う場合は、脳の障害が関係している可能性があります。突然の強い症状は、自己判断せず医療機関につなげることが大切です。

一時的に症状が消えても注意が必要な理由

脳卒中のような症状が一時的に出て、その後に消えることがあります。このような場合でも、安心してよいとは限りません。一過性脳虚血発作の可能性があり、その後に脳梗塞を発症するリスクがあります。

「治ったから大丈夫」と考えて受診を先延ばしにすると、重大な発症を見逃す可能性があります。片側の麻痺、言葉の異常、視覚異常などが一時的でも起こった場合は、症状が消えていても医療機関に相談することが大切です。

若い人の脳卒中で怖いポイント

若い人の脳卒中で怖いのは、発症そのものだけではありません。発見が遅れやすいこと、受診が遅れやすいこと、後遺症が長期的に生活へ影響しやすいことも大きな問題です。

若い人ほど、仕事や家庭、学業、社会活動の中心にいることが多く、突然の脳卒中によって生活が一変することがあります。身体機能の回復だけでなく、社会復帰、心理的支援、再発予防まで含めて考える必要があります。

「まさか自分が」と受診が遅れやすい

若い人は、脳卒中を自分事として考えにくい傾向があります。そのため、片側のしびれや言葉の出にくさがあっても、「少し休めば治る」「疲れているだけ」と判断してしまうことがあります。

しかし、脳卒中は初期対応が非常に重要です。発症から治療開始までの時間が、その後の回復や後遺症に関係します。若いから大丈夫ではなく、突然の神経症状があれば脳卒中を疑う意識が必要です。

初期症状が疲労や体調不良と間違われやすい

脳卒中の初期症状は、必ずしも劇的に見えるとは限りません。軽いしびれ、少し話しにくい、めまいがする、頭がぼんやりするなど、一見すると疲労や体調不良に見えることもあります。

特に若い人では、周囲も脳卒中を疑いにくいため、発見が遅れることがあります。重要なのは、「突然起こったか」「片側に偏っているか」「言葉や視覚に異常があるか」です。これらの特徴がある場合は、軽く見えても注意が必要です。

後遺症が仕事や家庭生活に影響しやすい

脳卒中の後遺症には、手足の麻痺だけでなく、言語障害、嚥下障害、記憶や注意の障害、感情面の変化、疲労感などがあります。外見上は回復しているように見えても、集中力が続かない、疲れやすい、複数の作業が難しいといった問題が残ることもあります。

若い人の場合、復職や学業復帰、子育て、家事、社会活動への復帰が課題になります。単に歩けるようになることだけでなく、その人らしい生活に戻るための支援が必要です。

再発予防を長期的に続ける必要がある

脳卒中は、一度発症した後の再発予防が非常に重要です。原因に応じて、薬物療法、血圧管理、生活習慣の改善、禁煙、運動、食事管理などを継続する必要があります。

若い人では、再発予防を長期間続ける必要があります。症状が改善すると治療や生活管理を中断したくなることもありますが、原因が残っていれば再発リスクは続きます。医師の指示に従い、定期的な受診と自己管理を続けることが大切です。

脳卒中が疑われるときの対応

脳卒中が疑われるときは、迷わず救急対応を考えることが重要です。突然、顔の片側がゆがむ、片腕に力が入らない、ろれつが回らない、言葉が出にくいといった症状が出た場合は、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。

脳卒中では、治療開始までの時間が非常に重要です。特に脳梗塞では、発症からの時間によって選択できる治療が変わることがあります。本人が「大丈夫」と言っても、周囲が異変に気づいた場合は、早めに医療につなげる判断が必要です。

迷わず救急要請すべき症状

片側の顔のゆがみ、片腕の脱力、ろれつが回らない、言葉が出ない、急な視覚異常、突然の激しい頭痛、意識がぼんやりする、歩けないほどのふらつきなどがある場合は、救急要請を考えるべきです。

特に、「突然起こった」という点は重要です。数分前まで普通に話していた人が急に言葉を出せなくなった、片腕が上がらなくなった、顔が歪んだという場合、年齢に関係なく脳卒中を疑います。早めの行動が後遺症を減らす可能性につながります。

発症時刻を確認する重要性

脳卒中が疑われる場合、いつ症状が始まったのかを確認することが重要です。発症時刻は、治療方針を決めるうえで大切な情報になります。本人が説明できない場合は、周囲の人が「最後に普段通りだった時刻」を伝えることが役立ちます。

たとえば、「15時までは普通に会話していた」「朝起きた時点で症状があった」「入浴後から急に様子がおかしくなった」など、分かる範囲で時刻を整理しておくことが大切です。救急隊や医療機関に正確な情報を伝えることで、診断と治療の判断に役立ちます。

自分で運転して病院へ行ってはいけない理由

脳卒中が疑われるときに、自分で運転して病院へ行くことは避けるべきです。症状が途中で悪化する可能性があり、本人だけでなく周囲の人を危険に巻き込む恐れがあります。また、適切な医療機関へ迅速につながるためにも、救急車を利用することが重要です。

救急隊は、症状や状態を確認し、脳卒中に対応できる医療機関へ搬送する判断を行います。自力での受診にこだわるよりも、救急要請によって早く適切な治療につなげることが大切です。

周囲の人ができる初期対応

周囲の人ができる初期対応として、まずは症状を確認し、すぐに救急車を呼ぶことが重要です。顔のゆがみ、腕の脱力、言葉の異常がないかを確認し、発症時刻を把握します。本人を無理に歩かせたり、飲食させたりせず、安全な場所で安静にしてもらいます。

また、普段飲んでいる薬、持病、アレルギー、発症前の状況などを分かる範囲で整理しておくと、医療機関での対応に役立ちます。若い人であっても、脳卒中を疑う症状があれば、周囲が早めに行動することが大切です。

若い人が脳卒中を予防するためにできること

若い人が脳卒中を予防するためには、血管に負担をかける生活習慣を見直すことが重要です。血圧管理、禁煙、適度な運動、バランスのよい食事、十分な睡眠、ストレス管理、健康診断の活用が基本になります。

また、若い人の場合、症状を我慢しないことも予防の一部です。頭痛、しびれ、麻痺、言葉の異常、視覚異常などを「いつものこと」と決めつけず、必要に応じて医療機関に相談することが大切です。早期発見と早期対応は、将来の大きな後遺症を防ぐ可能性につながります。

血圧を定期的に確認する

血圧は、脳卒中予防において非常に重要な指標です。高血圧は自覚症状がないまま進行することが多く、若い人では気づかないうちに血管へ負担をかけている場合があります。

健康診断で血圧が高いと言われた場合は、放置せずに生活習慣を見直し、必要に応じて医師に相談することが大切です。家庭用血圧計を活用し、自分の血圧の傾向を把握することも予防につながります。

喫煙・飲酒習慣を見直す

喫煙は、血管の健康に大きな影響を与える習慣です。若いうちは影響を実感しにくいかもしれませんが、血管への負担は長期的に蓄積します。禁煙は、脳卒中だけでなく心臓病や呼吸器疾患の予防にもつながります。

飲酒についても、過度な飲酒は血圧上昇や生活習慣の乱れにつながります。飲酒量が増えている人、飲酒によって睡眠の質が低下している人、翌日の体調に影響が出ている人は、習慣を見直す必要があります。

睡眠と運動習慣を整える

睡眠不足は、血圧、食欲、ストレス、体重管理に影響します。若い世代では仕事や学業、スマートフォンの使用などにより睡眠時間が削られやすいですが、睡眠は血管の健康を守る基盤です。

運動習慣も重要です。適度な有酸素運動や筋力トレーニングは、血圧、血糖、脂質、体重管理に役立ちます。忙しい人は、短時間の散歩や通勤時の歩行量を増やすことから始めてもよいでしょう。継続できる形で身体を動かすことが大切です。

頭痛やしびれを放置しない

若い人では、頭痛やしびれをストレスや疲労のせいにして放置してしまうことがあります。もちろん、多くの頭痛やしびれが脳卒中とは限りません。しかし、突然の強い頭痛、片側だけのしびれ、麻痺、言葉の異常、視覚異常を伴う場合は注意が必要です。

特に、「今までと違う」「急に起こった」「片側に偏っている」「症状が繰り返す」といった特徴がある場合は、医療機関に相談することが大切です。違和感を放置しないことが、重大な病気の早期発見につながります。

健康診断の異常をそのままにしない

健康診断で血圧、血糖、脂質、心電図などの異常を指摘された場合は、そのままにしないことが重要です。若い人では、再検査や受診を後回しにしやすいですが、異常値は身体からの大切なサインです。

脳卒中予防では、症状が出る前の段階でリスクを管理することが大切です。健康診断は、自分の血管リスクを知る貴重な機会です。異常があった場合は、生活習慣の見直しや医療機関での相談につなげましょう。

まとめ

若い人でも脳卒中になる可能性はあります。脳卒中は高齢者に多い病気ではありますが、若年層でも生活習慣病、血管異常、心臓疾患、外傷、妊娠・出産、薬剤、喫煙など、さまざまな要因によって発症することがあります。

特に若い人では、「自分は大丈夫」という思い込みによって受診が遅れやすい点が問題です。片側の手足や顔に力が入らない、ろれつが回らない、言葉が出にくい、視野が欠ける、突然の激しい頭痛がある場合は、年齢に関係なく脳卒中を疑う必要があります。

脳卒中は、発症後の対応がその後の回復や後遺症に大きく関わる病気です。症状が一時的に消えても安心せず、早めに医療機関へつなげることが大切です。また、日頃から血圧、喫煙、飲酒、睡眠、運動、健康診断の結果を見直すことで、将来のリスクを下げることにつながります。

若いから脳卒中にならないのではなく、若いからこそ早く気づき、早く行動し、長い人生を守るための予防を始めることが重要です。

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